Re-FRAME

本や映画、歴史、旅、社会のありようを感じたままに。

2022-01-01から1年間の記事一覧

走り抜けたべとべとさん

あなたはお化け、妖怪、幽霊、その他怪異なるものは好きですか?私は好物です。でも、言うほど信じていません。自分が感じたモノ以外は。 子どもの頃、私はマンションに住んでいて、自分の部屋の壁隣りがマンションの廊下になっていた。私はよく部屋の窓を大…

傾く殿様の悪乗りを感じた忍者寺

(一) 加賀百万石祈願所、日蓮宗/正久山妙立寺(みょうりゅうじ)。またの名を「忍者寺」と言う。妙立寺に忍者がいるからではない。「忍者屋敷のような」お寺という意味だ。建立したのは加賀藩三代藩主・前田利常。寛永20年(1643年)に金沢城近くから移築し…

D・カーネギー『道は開ける』を読んで、遠藤周作に思いを馳せる

(一) D・カーネギー著『道は開ける』は「あらゆる人間に共通する『悩み』の実態とそれの克服法を述べたものである」(「訳者まえがき」より)。カーネギー自身がその生い立ちや中々売れなかった役者時代など悩み多き人生の中で、「悩み」に対してどう取り…

明治に記された『現代日本の開化』が示す未来

(一) 夏目漱石著『現代日本の開化』は明治44年(1911年)に大阪朝日新聞社主催の関西講演会で行われた講演筆記を改稿した評論である。私がこの著作にふれたのは、高校生だったか大学生だったか。印象として、正直ピンと来なかった。題名にある「現代日本」…

此岸から宮島を臨む

(一) フェリーの甲板上の足元からゆっくり顔を上げると、視界には海が飛び込んできて、海のその最奥に朱色の鳥居が見えてきた。鳥居の背後には黒に近い緑を纏った山容が広がっている。宮島だ。 「宮島」という名称と「厳島」という名称のどちらが正しいの…